長崎市に被爆体験者支援事業の改善要望(2019年8月1日)

 被爆体験者支援事業は事業開始時から改善された利用しやすくなった面もありますが、被爆体験者の平均年齢も80歳を超え、癌が対象外とされていることなど、被爆体験者の不安が解消されているとは限りません。
協会では被爆体験者の治療・管理を行っている第一線医療を担う医師・歯科医師の立場から、下記の2項目を求める要望書を長崎市に提出しました。
なお、懇談に際しては長崎市議会議員の毎熊政直氏に尽力をお願いしました。

一.被爆体験者精神医療受給者証は自動更新とし、精神科医が症状固定と判 断した場合には1年に1回の精神科受診を手帳更新の要件としないこと。
一.癌を対象合併症に加えること。

2019年8月1日

長崎市長 田上富久様

長崎県保険医協会
会長 本田孝也

2002年に始まった「被爆体験者支援事業」もすでに開始から17年が経過し、被爆体験者の平均年齢も80歳を超えました。
この間少しずつ対象疾患の拡大や手続きの簡素化等の制度改善措置がとられてきましたが十分なものではなく、医療現場に寄せられる不安、不満、困惑の声は年々増加しています。
藤色の被爆者健康手帳を持つ被爆者は病気やケガにかかわらず無料で医療を受けることができます。手帳の更新もありません。しかし、緑色の被爆体験者精神医療受給者証が交付される被爆体験者は定められた病気以外は窓口負担があります。3年に一度は更新手続きがあり、1年に1回は精神科の受診が義務付けられています。
同じ原爆の惨禍に苦しみながら、どうしてこれほど違いがあるのでしょうか。
高齢化が進み、被爆未指定地域から長崎市街にある精神科を受診するだけでも大変な負担になっています。ほとんどの被爆体験者の対象精神疾患は症状が固定しており、かかりつけ医だけでも十分管理できます。
また、癌が対象合併症でないことも被爆体験者の大きな不安になっています。国立がん研究センターは多目的コホート研究は長期間にわたる自覚的ストレスは全がん罹患のリスク上昇と関連があるとの研究結果を発表しています。脳梗塞や高脂血症が対象疾患になっているのに癌だけを対象外とする理由はもはや存在しません。
被爆体験者の不安を解消し、安心して医療を受けられるように、以下を要望します。

一、被爆体験者精神医療受給者証は自動更新とし、精神科医が症状固定と判断した場合には1年に1回の精神科受診を手帳更新の要件としないこと。
一、癌を対象合併症に加えること。

以上