県社会保障推進協議会は県内のすべての自治体を訪問して、社会保障施策の拡充を求める自治体キャラバンを昨年11月~12月に実施しました。
懇談では、事前に各自治体に行った「医療福祉施策等アンケート」結果をもとに、社会保障施策の拡充に関する47項目の要請書を提出し、その回答をふまえて意見交換を行いました。
協会からは本田会長(県社保協会長)が長崎市と西海市、事務局が対馬市、長与町、時津町、東彼杵町、川棚町、波佐見町の懇談に参加しました。
長崎市との懇談では、はじめに、医療機関や介護施設に『電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金』を活用した支援を求めたのに対し、「県の支援の活用を」という回答に留まったため、県の支援策は不十分であることを指摘し、あらためて支援策を求めました。国保では、今年度から2年連続で税率の引き上げを行うことについて、一般会計からの法定外繰り入れを行って「所得に応じて払える保険税にすること」を強く要望しました。窓口一部負担の国保法第44条減免制度について、減免件数ゼロが続いているので、活用できる制度にしてほしいと求め、保険税の滞納があると使えない自治体も多いようだがどのような取り扱いになっているのか質しました。「生活保護基準より若干緩めに基準を設けているが、蓄えの確認もするため躊躇されるのではないか。滞納の有無で判定はしていない」と答えました。介護保険では、積立金が18年以降毎年10億円増えているため、適正に活用して保険料の引き下げ実現をと求めましたが、「団塊の世代の高齢化で今後さらに介護給付費が増えることが予想されているなかで、妥当な積立金額はわからないが、活用はしていく」との回答にどとまりました。
子どもの医療費助成制度の拡充では、中学生まで助成している12自治体に、県が示した18歳までの助成の内容が、これまでの就学前に高校生世代のみを追加した提案になっていることに対し、市町の受け止めや議論の進捗について聞き、窓口負担ゼロかつ現物給付での年齢拡充を求めました。複数の自治体で18歳までの助成を検討していることが分かりましたが、1回800円の窓口負担は「高くない」との認識を示す自治体担当者もおり、住民の声を届けながら繰り返し要請していく必要性を感じたキャラバンとなりました。
懇談で使用した「医療福祉施策等アンケート結果」は、県下各自治体の、国民健康保険、介護保険及び高齢者福祉サービス、子育て支援、障がい者支援、健診事業、成人向け予防接種、年金制度、生活保護などの施策の実施状況等をまとめていますので、こちらからご覧ください。地元自治体の現状を把握し、第一線医療を担う保険医の立場で、地域医療の改善・拡充を求める資料として、ご活用ください。