健康一口メモ/適応障害(ストレスが身体に与える影響について)

適応障害(ストレスが身体に与える影響について)

 近年、適応障害になり心療内科を受診する患者さんが増加しています。適応障害とは、主にストレスが原因となり心身に様々な異常を来す状態を指します。私たちの体は自律神経によって内部の環境を一定に保つ働きがありますが、ストレスはこのしくみを破綻させ、様々な症状を引き起こします。
 私たちが日常で感じるストレスは様々です。過労や睡眠不足などは一般的ですが、進学や就職などの環境の変化や、傍目には喜ばしいと思えるような、昇進や結婚といったイベントも、人間の心はストレスとして受け止めていることがあります。
 適応障害で生じる症状の多くは、自律神経、特に交感神経過敏によって起きる症状が主であり、具体的には、倦怠感、頭痛や耳鳴り、原因不明の咳、食欲の低下などといった身体の症状や、不安感、憂鬱(ゆううつ)さ、不眠、イライラ感などの精神症状があります。このような症状が続く時は適応障害である可能性があり、放置するとさらに悪循環を生じてしまいます。
 適応障害の治療は、まずは原因となっているストレスから解放されることが第一です。思い切って休学や休職することは勇気のいる決断ですが、症状を悪化させないためには必要となることがあります。同時にストレスの対処法を心理的に援助するカウンセリングや、症状によっては不安感や緊張を和らげる薬物療法が必要となることもあります。身体の不調が続く時にはお早めに精神科または心療内科を受診することをおすすめします。(2016年1月放送)