子どもの注意欠如多動症(ADHD)と治療について
ADHDは行動や注意をコントロールする脳の機能のアンバランスによって起こるとされています。落ち着きがない、よく考えずに行動してしまう、気が散りやすく飽きっぽい。こんな症状が目立ち、生活に問題を抱えてしまうお子さんは、ADHDとして理解し対応してあげることが必要かもしれません。
ADHDのお子さんは、度重なる失敗や叱られ体験から自己評価も低くなり、やる気も失っていきがちです。このような状況が続くと二次的な心の問題を引き起こすこともあります。ADHD治療の目的はお子さんの自己評価を低くさせないこと、他の子と同じように充実した日々を送らせることです。
ADHD治療は社会心理学的治療と薬物治療との二本柱からなります。社会心理学的治療とは、集中しやすい環境作りや周囲の適切な対応の中でお子さん自身が自分をコントロールする力をつけていくことを目的とします。薬物治療は、ADHDの原因とされる脳内のドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質のアンバランスを改善することにより、不注意、多動、衝動性の症状を和らげ、学校や家庭の中で適応する力をつけていくことが目的です。専門機関では行動療法や薬物治療、また、親がお子さんと適切な関わり方を学ぶペアレントトレーニングを行っています。まずはお子さんの行動で日常生活に困ると感じるようであればかかりつけの小児科医にお気軽に相談してみてください。(2016年11月放送)