産婦人科における児童虐待ゼロプロジェクト
皆さんは、児童虐待のお話はこれまでもどこかで聞かれたことと思います。ところが、出産を扱うお祝いの場所である産婦人科の医師・スタッフが、虐待について取り組んでいるというのは初耳ではないでしょうか。平成23年に、子どもさんが虐待で亡くなった例が全国で56人でした。その約45%が、生まれた日に亡くなっていたのです。これは大変だと国も県も考え、妊娠中から妊婦さんが悩み事などを相談できるような体制づくりが産婦人科学会に持ちかけられました。
長崎県でも、平成23年4月から全国で2番目に、「児童虐待予防対策研究会」を立ち上げ、「心の悩み」や「経済的な悩み」や「望まない妊娠」などで困っている妊婦さんの情報を、産婦人科と地域の保健師さん達が情報を共有して、虐待予防に役立てる仕組みを作りました。それを「児童虐待ゼロプロジェクト」と呼んでいます。
実際には、今県内のお産を扱う50施設のうち37の施設では妊婦健診に来た時とお産後に「心の状態」「子どもへの関心」「うつ病になる可能性」をチェックリストでスクリーニングしています。そこで、私たちが支援する必要があると判断した人は、心療内科へ紹介したり、地域の保健師さんと連携して不幸な赤ちゃん、不幸なお母さんが出ないよう努力しています。何か悩みがある妊婦さんは県内全ての産婦人科に「妊娠などで悩まれている方の相談窓口」がありますので遠慮なくご相談ください。(2016年2月放送)