子宮筋腫に対する腹腔鏡手術
腹腔鏡(ふくくうきょう)とはお腹の中を観察する細長いカメラのことです。この腹腔鏡をおへそからお腹の中へ入れ、そして、下腹部に5mmの穴を2〜3箇所あけて手術操作を行う細長い鉗子と呼ばれるものを挿入します。腹腔鏡が映す映像をテレビモニターで見ながら鉗子を操作して行うのが腹腔鏡手術です。従来の下腹部を大きく切開する手術に比べると、傷は非常に小さくてすみます。腹腔鏡手術は手術を受ける方にとって身体の負担が小さい手術の代表選手です。傷が小さいので術後の痛みが軽いため手術翌日には歩き始めます。退院が早く、社会復帰も早いのが大きな利点です。そのため腹腔鏡手術が簡単な小さい手術であると誤って解釈されることもしばしばですが、決してそういうわけではありません。大きく開腹して行っていた手術と同じことを腹腔鏡を使ってそのまま再現するのが腹腔鏡手術なのです。
子宮筋腫に対する手術は大きく二つの方法があります。一つは子宮をとる手術で、もう一つは子宮筋腫だけをくり抜くように取り出し、子宮は残すやり方です。これから赤ちゃんを産む予定のある方の場合には子宮を取ることはできません。その場合は子宮筋腫だけを取り出す手術を選択します。極端に大きな子宮筋腫やたくさんできた子宮筋腫に対しては、腹腔鏡手術に限界がありますが、多くの患者さんにとって腹腔鏡手術が選択可能です。子宮筋腫と告げられ手術が必要と判断された場合には、腹腔鏡手術も選択肢の一つですので、かかりつけの医師に相談してください。(2016年10月放送)