健康一口メモ/女性の尿もれ

女性の尿もれ

 女性は、男性と違って尿道が3~4㎝と短く、もともと尿がもれやすい体の構造になっています。加齢などで骨盤の筋肉の緊張が弱まったり、様々な原因で膀胱の刺激が強くなると、尿がもれてきます。
 尿もれは、大きく腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁に分けられます。腹圧性尿失禁とは、加齢や出産により尿道や膣を周りから支えている骨盤の筋肉が緩んで、咳やクシャミをしたり、重い荷物を持ったりしてお腹に力が入った時に尿がもれる状態です。階段の昇り降りやスポーツ時にもれることもあります。軽症も含めると、女性の4割(2千万人以上)がお悩みです。
 治療の基本は、緩んだ骨盤の筋肉を鍛える体操です。膀胱を緩めて尿道を締める薬物療法や、重症の場合のメッシュテープ手術もあります。
 切迫性尿失禁とは、急に尿意をもよおし、トイレが間に合わなくて尿がもれる状態です。冷たい水が刺激になって尿がもれる場合もあります。切迫性尿失禁の代表的な原因が、過活動膀胱です。過活動膀胱とは、様々な原因で膀胱が敏感になった状態で、四十歳以上の女性の8人に1人(約800万人)が過活動膀胱です。治療は、膀胱をリラックスさせて異常収縮を抑える薬物療法や、膀胱訓練を行います。膀胱炎で切迫性尿失禁になった場合には、抗生剤の内服治療を行います。
 このように、尿もれのタイプにより治療方法が違っているので、正しい診断をして適切な治療を受けることが重要です。尿もれでお困りの方は、一人で悩まずお気軽に泌尿器科専門医にご相談ください。(2016年3月放送)