高血圧の方の歯科受診の注意
治療の際はストレス、不安、緊張、麻酔により血圧が上がりがちです。麻酔薬には血管を収縮させる成分が含まれており、血圧が上昇します。血圧がコントロールされている状態であれば、心配する必要はほとんどありませんが、高血圧の患者さんでは、もともと高い血圧がさらに上昇し、脳卒中や心臓病などを引き起こす可能性があります。問診票には高血圧症であることを記載してください。通院中に高血圧症が発見された際はその旨を伝えてください。脳卒中や心臓病、他の病気の合併症がある場合は、発作を起こした時期や治療経過、通院中の病院や担当の医師のお名前も伝えてください。
次に飲んでいる薬を教えてください。薬局でもらう「お薬手帳」などを提示されるとよいでしょう。抜歯や歯石を取り除く際には多少の出血を伴います。血圧が高いと、出血量が増えたり血が止まりにくくなることがあります。特に血液の流れを良くする薬を飲んでいる場合は歯科医師に伝えてください。カルシウム拮抗(きっこう)薬と言われる高血圧症の薬の副作用で、歯肉が増殖することがまれにあります。口腔清掃や歯周病治療でコントロールすることが可能です。場合によっては担当医師と歯科医師との間で相談し、お薬の種類を変更することもあります。高血圧症の治療をちゃんと受け、血圧をコントロールした上で、歯科治療を受けることが大切です。コントロールされている状態であれば、歯科治療時に心配する必要はそれほど強くありません。(2016年2月放送)