小児科/赤ちゃんの発熱

赤ちゃんの発熱

 まだ自分の訴えを言葉にできない赤ちゃんが、高い熱を出しているのをみるのは、親としてとても心配なものです。熱に対して正しい知識を得ることは、不安な気持ちを少し減らすことに役立つと思います。
 発熱に対してたまに見られる二つの誤解についてお話します。一つめは高い熱を出している子に汗をかかせて、熱を下げさせようとすることです。汗をたくさんかかせても熱は下がりません。熱がある子を温めると熱はさらに上がり、余計に具合が悪くなります。高い熱を出している赤ちゃんはオムツと肌着くらいで涼しくして、嫌がらなければ首の後ろや脇の下を冷やしてあげてください。
 二つ目は高い熱が続くと脳や神経に悪い影響が出るのではないかと心配されることです。髄膜炎や脳炎などのように脳神経そのものに感染があれば話は別ですが、風邪やその他の感染症でいくら高い熱が続いても、熱によって脳が侵されることは決してありません。なぜなら熱はその原因になる細菌やウイルスが出しているのではなく、それらと戦うために自分の体が出しているものだからです。高い熱は熱さましなどを使って下げてあげたくなるのが人情ではありますが、機嫌や食欲がそれなりに保たれていれば無理に下げる必要はないのです。必要以上に熱を怖がることはありません。
 ただし例外があります。生後2カ月未満の赤ちゃんが熱を出した場合、熱とともにぐったりして嘔吐を繰り返している場合はたとえ夜中でも速やかに病院を受診してください。(2019年10月)