小児科／任意接種ワクチンの重要性

　定期接種は特定の期間内であれば無料で接種できるワクチンです。任意接種はそれ以外のワクチンで、原則自己負担です。
　現在、こどもの任意接種には、ロタウイルスワクチンとおたふくかぜワクチンがあります。
　ロタウイルスとは嘔吐下痢症の原因ウイルスです。嘔吐下痢症の原因としてはノロウイルスも有名ですが、こどもではロタウイルス胃腸炎が最も重症になりやすく、ひどい脱水症を起こしたり、脳に炎症を起こしたりすることがあります。日本では、年間80万人が外来を受診し、８万人が入院すると報告されています。ロタウイルスワクチンは生後２カ月から接種できるシロップ型の生ワクチンです。しかし投与期間が短いワクチンなので注意が必要です。
　おたふくかぜは以前から有名な病気ですが、合併症が恐い感染症です。思春期以降にかかると男性の４人に１人が睾丸炎を起こし、男性不妊の原因になることがあります。また近年特に注目されているのはムンプス難聴という合併症です。最近の調査で2015年から2016年の２年間にムンプス難聴と診断された人が全国で359人もいたことが分かりました。ムンプス難聴には効果的な治療がありません。唯一防ぐ手段が予防接種です。おたふくかぜワクチンは、年齢制限はありません。何歳でも接種できます。
　定期接種になっていないこととそのワクチンの重要性とは全く関係ありません。任意接種ワクチンも定期接種ワクチンと同様に接種すべきワクチンです。（2019年9月）