健康一口メモ/高齢者の慢性腰痛

高齢者の慢性腰痛

 二足歩行をする人間の宿命で、高齢になると多くの人に腰痛が見られます。高齢者腰痛の原因は、骨や筋肉の傷みによる複数の要因が関係しています。起床時の腰痛や腰が伸びない腰痛などは、背骨の上下を繋ぐ蝶番のさびのような関節の変形によって起こります。歩くのが遅くなり、痛みのために休み休み歩く(間歇性跛行)は、多くは腰部脊柱管狭窄症によります。腰部脊柱管狭窄症は、神経の束が入る腰の骨のトンネルが部分的に狭くなり神経が圧迫を受けているのです。神経が圧迫されると、下肢に痛み・しびれが起こり歩行困難となります。そのような高齢者の腰痛、下肢痛の治療は、主に副作用が少ない薬の長期服用が中心となります。最近は副作用に注意しながら、痛みには弱い麻薬系の鎮痛剤、しびれには神経障害性疼痛治療薬を使用します。痛みが強い時は、傷んだ神経の近くに痛み止めや腫れ止めを注射する神経ブロック療法も考慮します。それでも痛みのために生活が困難な場合は、全身状態を考慮しながら手術療法も検討することとなります。
 寝たきりにならないために、高齢者の日常生活の心得も重要です。腰痛になる前に適正体重を保つ食事習慣と毎日の歩行運動で筋力維持を心がけ、元気な体調を維持するように努めてください。もし腰痛で日常生活に苦痛があるなら、お早めにかかりつけ医にご相談ください。(2019年8月)