こどもの貧血

子どもの貧血

 子どもの貧血で最も多いのは、鉄の不足によって起きる鉄欠乏性貧血です。鉄欠乏性貧血はなりやすい時期があります。生後6カ月くらいから2歳までの間と思春期です。母乳に含まれる鉄は少なく、人工ミルクも吸収率が低いため、生後4~5カ月頃になると鉄が不足します。このあたりから離乳食が始まり、食物から栄養を取りますが、離乳食を食べてくれなかったり、偏った食事をしていると鉄が不足し、貧血になります。
乳児期は体と脳が大きく成長します。この時期に鉄欠乏があると知能の発達に影響するという報告もあります。
思春期も、体が大きく成長し、血液や筋肉の増加とともに鉄が使われます。また、女性は月経が始まり、出血によって鉄が失われるため、鉄欠乏性貧血になります。さらに胃潰瘍などを起こすヘリコバクター・ピロリ菌の感染が原因になることがあります。
鉄欠乏性貧血でまず現れる症状は顔色が悪くなる事です。しかし、貧血は徐々に進むので気付くのは困難です。貧血が進むと、疲れやすい、息切れ、動悸が現れます。思春期の鉄欠乏性貧血では、運動能力や成績の低下、集中力の低下、無性に氷が食べたくなる氷食症が現れることがあります。
診断には、血液検査が必要です。貧血の有無だけでなく、貧血の原因をはっきりさせることが大切です。子どもの貧血には、まれに命に関わる病気が潜んでいることもあります。気になる症状があれば、まずかかりつけの小児科を受診してください。(2019年4月)