慢性便秘
便秘は日常的な症状の一つです。3日以上排便がない、排便があっても残便感がある、排便困難や腹部膨満感などの症状を伴う便通異常を便秘と呼びます。若い人では女性に多く、70歳以上では男女ほぼ同じで加齢と共に増加します。
便秘は器質性便秘と機能性便秘に分けられます。
器質性便秘は大腸がんや腸の炎症・癒着で狭くなったり動きが制限されて起こります。慢性便秘の方はまずこれらの疾患の有無について調べる必要があります。最近では大腸がんが増加していますので出血のある方や五十歳以上の方は内視鏡検査を受けましょう。
機能性便秘とは大腸の働きに異常が出る便秘です。糖尿病や神経疾患などの病気や薬剤が原因のこともありますが、多くは生活習慣から引き起こされます。このため慢性便秘の治療の第一歩は生活習慣の改善にあります。不規則な生活リズム、睡眠不足、排便の我慢は便秘を悪化させます。適切な排便習慣を促すために便意がなくても毎日トイレで排便の努力をすることが大事です。排便時には背中を丸め前屈みの姿勢をとることで排便しやすくなります。また水分・食物繊維・乳酸菌食品などをバランスよく摂取することで排便が促がされます。便秘の方の多くは水分摂取が不足しています。便の硬さに注意して十分な水分摂取が必要です。
生活習慣の改善でも効果がない時には薬物療法が必要です。従来の薬に加えて最近では新しい仕組みで便秘を治療する薬も登場しています。かかりつけ医に相談して適切な治療を受けましょう。(2018年10月)