健康一口メモ/脂肪肝による肝臓がんについて

脂肪肝による肝臓がんについて

 脂肪肝とは肝臓に余分な脂肪が溜まった状態をいいます。検診や人間ドックで最も多くみられる病気です。脂肪肝の原因にはアルコール、肥満や生活習慣病など色々ありますが、飲みすぎによるアルコール性脂肪肝以外を非アルコール性脂肪性肝疾患(英語名を略してNAFLD)と呼んで区別しています。従来、この脂肪肝は自覚症状もなく、治療の必要性もない良性の疾患と考えられて来ました。しかし近年、この内の十~二十%に肝硬変や肝臓がんへ進行する可能性のある症例が存在することが判り、注意が必要です。この一群を非アルコール性脂肪肝炎(略してNASH)と云います。最近では肝臓がんの主な原因であったB型とC型の慢性肝炎は新薬による治療で改善するようになって減少して来たのに対し、NASHによる肝臓がんの増加が懸念されています。
NASHを診断するには、まずB型とC型の肝炎ウイルスのチェックが必要です。指定された医療機関で無料で検査を受けられます。次に肝臓のエコーまたはCT検査による画像診断を行います。さらに肝臓の組織検査が必要になることもあります。治療は、肥満がある場合には先ず食事療法による減量が必要です。また糖尿病やコレステロールが高いとか、血圧が高いなどの生活習慣病がある場合にはその治療を行うことが先決です。それでも改善がみられない場合には、専門医の診察を受けられることをお勧めいたします。(2018年9月)