健康一口メモ/その症状、亜鉛欠乏では?

その症状、亜鉛欠乏では?

 亜鉛は身体に存在する酵素のうち三百種類以上の酵素の活性化に必要な成分であり、色々な臓器に多く含まれる大変重要なミネラルの一つです。体内では作られないので、食事などで摂取する必要があります。このため亜鉛が不足すると、様々な病気や症状を引き起こします。舌では味が判らないなどの味覚障害が起こり、皮膚では潤いが無くなって皮膚炎を、髪の毛では脱毛の原因にもなります。骨では骨粗鬆症を生じ、前立腺や精巣などでは男性不妊の一因ともなります。また、免疫力が低下し感染症が起きやすくなります。小児では身長や体重の伸びが低下して発育障害が見られるので、妊娠中の亜鉛不足にも注意が必要です。そのほか、貧血、食欲低下、下痢、口内炎、難治性褥瘡などで亜鉛不足が関係していることもあります。
それでは、亜鉛不足を解消するにはどうしたらよいでしょうか?亜鉛は食品の中でも特に牡蠣に多く含まれていますが、肉類、レバー、卵、チーズ、高野豆腐、ナッツ類などでも比較的豊富ですので、日頃から適当に摂取するよう心がけましょう。偏った食事や極端なダイエット、お酒をよく飲む方などでは亜鉛が不足しやすいので特に注意が必要です。逆に通常の食生活では亜鉛を摂りすぎる心配はありませんが、薬やサプリメントなどで摂取しすぎると副作用が出ることもあります。2017年3月に新しい亜鉛欠乏症治療薬が承認されたので、亜鉛不足が心配な方はかかりつけ医にご相談ください。(2018年8月)