前立腺肥大症~注意が必要な症状とは?~
男性は、中年になると排尿が気になる方が多いようですが、その多くは、前立腺肥大症という加齢に伴う病気が原因です。前立腺は、尿道を取り巻くように膀胱の出口に存在する男性特有の臓器です。50歳頃から前立腺が肥大してきて、80歳までに約80%の方がなるといわれています。前立腺が肥大すると尿道が圧迫されて、尿の勢いがない、排尿に時間がかかる、排尿の回数が多い、排尿後も残った感じがするなどの症状が出てきます。
重症の場合には内視鏡手術を行うこともありますが、多くの場合は、薬物療法が有効です。高齢の男性で排尿が気になる方は、かかりつけ医か泌尿器科専門医に相談してください。
前立腺肥大症の方で、特に注意が必要な場合がいくつかあります。尿を出したいのに排尿できず、下腹部が膨れて痛む場合は尿閉です。尿道から管を入れて、膀胱に貯まった尿を出す必要があります。眼で見て分かる血尿がある場合には、前立腺肥大症以外に膀胱結石や膀胱がんができていることがあります。排尿の時に痛みがある場合は、前立腺肥大症に膀胱炎や膀胱結石が合併していることがよくあります。また、前立腺がんの場合にも痛みがあることがあります。
このような症状がある場合には、早めに泌尿器科専門医を受診して、超音波や内視鏡などの検査を行い、適切な治療を受けてください。また、薬物療法で症状が改善しない場合には、尿道狭窄や膀胱の神経障害など、前立腺肥大症以外の病気のこともあるので、泌尿器科専門医受診をおすすめします。(2017年12月)