健康一口メモ/腎不全と透析

腎不全と透析

 腎臓は尿を作る臓器であるというのは、ご存知の事と思います。腎不全は、この腎臓の機能が落ち、体にたまる不要な物質(老廃物)や、水分の調節(尿の量)、電解質という物質の調節がうまくいかない状態です。腎臓は、赤血球を作るエリスロポエチン、カルシウムや骨の代謝と関係する活性型ビタミンD等のホルモンを作る役割もあり、腎不全ではこれらの働きも低下します。腎不全の治療には、血液透析、腹膜透析、腎移植等があります。慢性透析患者は32万人を超え、その大部分(97%)が、血液透析を行っています。透析患者の平均年齢は、67.5歳と高齢化しています。

 血液透析は、1分間に150~200ミリリットルの多量の血液が必要なため、内シャントと呼ばれる、腕の浅い部分の動脈と静脈をつなぐ手術をし、血液量の多い血管を作り、そこに針を刺して血液を体外に循環させます。血液はダイアライザーと呼ばれる透析器に通します。ダイアライザーは、人工の膜でできた細い管で作られ、腎臓の糸球体(しきゅうたい)とよく似た働きをします。細い管の中を血液が流れ、外側を透析液が流れ、両者の間で物質交換を行い、血液中の老廃物や不要な水分は透析液に移り、逆に透析液中のカルシウムや重炭酸等の、体に必要な物質が血液中に移行し、血液がきれいになり体に戻ります。透析療法は、体に不要な物を外に出し、必要な成分を補充することはできますが、腎臓病自体を治すものではなく、週に二~三回行う必要があります。(2017年1月)