硝子体手術とは
眼の奥には網膜と呼ばれる光を感じる神経の集まりがあります。この網膜が障害を受けると、回復し得ない視力低下や視野異常を残すことがあります。手術が必要な網膜の代表的な病気には、網膜に穴があいて起こる網膜剥離、糖尿病から起こる増殖性糖尿病網膜症、黄斑と呼ばれる網膜の中心に穴があく黄斑円孔や、黄斑に厚い膜が張って網膜の形を歪める黄斑前膜などがあります。
これらは網膜が傷んでしまう病気ですが、その原因は眼球の中を満たし、網膜に接着している透明なゼリー状の、硝子体と呼ばれるものです。この硝子体の変化が病気の直接の原因になったり、病気を進行させる足場となったりします。そのため、これらの病気の治療には原因となる硝子体を取り除く必要があるのです。
硝子体手術は白目の部分に3つの小さな穴をあけ、その穴から眼の中を照らすライトや、眼の形を保つための手術用の水、硝子体を取り除くカッターやピンセットを入れます。神経がむき出しとなっている網膜の表面まで器具を入れて治療するため、眼という小さな臓器を扱う眼科の手術の中でも最も繊細な手術です。近年、より小さな器具が開発され、機械の性能が向上したため、以前より負担の少ない治療となり、病気によっては日帰り手術も可能となってきました。
網膜の病気は、放置すると治療しても回復が難しいこともありますので、普段と異なる見え方が続くようでしたら眼科を受診しましょう。(2017年10月)