健康一口メモ/高齢者の難聴と耳鳴

高齢者の難聴と耳鳴

 まず聴こえのメカニズムについてお話します。私たちが話す声は空気を振動させ、この振動が鼓膜を振るわせます。そして耳の奥の内耳に入って電気信号に変えられ、聴こえの神経という電線を通って脳へ伝えられます。その脳で再び話声として組み立てられ、聴こえたと認識します。つまり、私たちは耳ではなく脳で話を聴いていることになります。最近この脳が注目されるようになってきました。

 耳は外界から非常に多くの情報を取り入れ、目からよりも多いとさえいわれています。歳をとって耳が遠くなるとこの情報が減り、脳が活性化される機会も減ってしまいます。そうすると、うつや認知症になりやすくなります。

 次に耳鳴について最近分かってきたメカニズムについてお話しします。難聴があると音が脳に少ししか伝わらないため、その分を埋めようと脳が頑張って聴こえない音の信号をより強くしようと働きます。いわば脳が過度に興奮した状態、それが耳鳴だということがわかってきました。

 ではどうするかですが、補聴器で聞こえにくい音を大きくし、きちんと脳に伝えてやることが大切だということです。そうすることによって脳の過度な興奮が減る、つまり耳鳴が改善します。補聴器をうまく使うことによって難聴にも耳鳴にも効果が期待できるというわけです。

 多くの方が難聴や耳鳴で悩んでおられます。ぜひ、かかりつけの耳鼻科医院をつくり、医師とよく相談されることをお勧めします。(2017年2月)