人工膝関節置換術
人工膝関節置換術とは、関節の軟骨がすり減ったり変形が進んで痛みのために歩くことが困難になった患者さんに対して行われる手術です。例えば歯が弱くなり、ものが噛めなくなった場合に、入れ歯に変えると再び何でも噛めるようになりますが、人工膝関節は関節の総入れ歯のようなものです。
手術の一番の目的は痛みなく歩けるようにすることで、O脚などの変形を直すことも可能です。
日本国内では年間に八万件以上の人工膝関節置換術が行われており、整形外科では一般的な手術となっています。
手術時間は通常1~2時間程度で、感染を予防するためにクリーンルームを使用して行います。入院期間は1カ月程度で、ほとんどの患者さんは痛みやこわばりが解消し、二週間程度で杖を使っての歩行が可能となり、多くの日常生活の動作ができるようになります。
手術の問題点としては、手術中の出血が多くなると輸血の必要があること、術後の感染や、血栓症のリスクがあげられます。また長期的には人工関節が緩んだり壊れたりして再手術が必要となる場合もあるため、手術後も年に1~2回の定期的な通院、検査が必要です。
人工関節は非常に有効な治療法ではありますが、いったん入れ替えてしまうと元の関節には戻すことはできません。まずはリハビリや薬物治療が基本となりますので、かかりつけの整形外科医と相談して手術を選択することをおすすめします。(2017年8月)