健康一口メモ/いわゆる「五十肩」

いわゆる「五十肩」

 中高年になると、さしたる原因もないのに急に肩が痛くなり、腕が上がらなくて生活に支障を来すことがあります。これがいわゆる「五十肩」と呼ばれるものです。この俗称は江戸時代に高齢者に起こる肩の痛みを総称して呼んだのが始まりで、今でも一般に広く用いられています。医学病名は「肩関節周囲炎」といいます。肩の炎症が原因ですが、詳しいことは未だ完全には解っていません。

 症状の出初めは、肩や腕の痛みが外傷もないのに自然に起こり、痛みが強くなって夜に痛い方を下にして眠れないようになります。また、徐々に肩の動きが悪くなり、手を伸ばして棚の上の物を取れないとか、後ろに手を回して服を着替える動作ができないなどの支障をきたします(炎症期)。放置すれば、痛みが続くだけでなく、肩がどの方向にも動かない「拘(こう)縮(しゆく)」と呼ばれる状態になります(拘縮期)。その後、痛みや拘縮は数カ月の期間を経て徐々に軽くなっていきますが(回復期)、適切に治療されなければ、いつまでも肩の痛みが続きしかも動かない「凍結肩」となってしまうこともまれではありません。

 五十肩の治療は、肩の炎症を抗炎症剤の内服や関節注射で軽減すること、また、肩の拘縮を温熱治療やリハビリで改善することが基本です。診断や治療が遅れて症状が進行すれば手術を要する場合もあります。具体的な治療法は病気の時期や程度により異なるので、早めに整形外科を受診し、適切な治療を行うことが大切です。(2017年4月)