腸閉塞
腸閉塞とは何らかの原因で、食物や消化液が腸の中を通りにくくなった状態です。原因として腸の通りを悪くするがんなどの腫瘍性疾患、手術後のお腹の中の癒着、ヘルニア、腸重積、腸への血液循環の障害、感染症などが挙げられます。時に服用している薬の副作用や、糖尿病の悪化など、腸の運動を悪くすることが原因の場合もあります。便秘がひどくなっても腸閉塞となります。
症状は腹痛、お腹のはった感じで始まり、次第に嘔気、嘔吐などが出現します。腸への血液循環の障害を伴う場合は腸が破裂して腹膜炎を起こす可能性が高く、急速に症状が悪化し、激しい腹痛を起こすので注意してください。
腸閉塞は通常お腹のレントゲン写真を撮ることで容易に診断できます。しかし原因まで調べるには血液検査やCT、内視鏡、造影剤を使った胃腸透視などの検査も必要です。
治療はまず絶食とし、鼻からイレウス管という長い管(くだ)を入れて胃腸の中身を出す内科的な治療を行います。手術がその後の腸閉塞の原因となる可能性があるため、内科的な治療が優先されます。しかし改善しない場合や腸の血液循環の悪化が疑われる場合は原因に応じた手術が必要となります。
もしお腹が張って吐き気を感じたら、早めに受診することをおすすめします。特にお腹の手術を受けた方は虫垂炎のような軽度の手術であっても癒着性の腸閉塞の可能性がありますので、消化器専門の医師を受診されてください。(2017年12月)