がんの診断とこころの動き
健康診断を受け、「がんの疑い、精密検査が必要」という結果が届いたら皆さんはどのように受け止めるでしょうか。不安な気持ちで、精密検査に向かい、その結果を聞くまでどのような思いが頭をめぐるでしょうか。もし、悪い知らせであれば……、頭は真っ白、お先真っ暗になってしまうかもしれません。「何かの間違いだ」と信じたくない気持ち、「もうだめだ、治療を受けても無駄だ」との絶望感、「なぜ自分なんだ」との怒り、一方では、「きっといい治療法があるに違いない」と揺れ動くかもしれません。このような、混乱、不安、恐怖、無力感などは誰もがおちいる普通の反応です。多くの場合は、十日ほどで徐々に現実に向き合えるようになると考えられます。しかし、本来の自分を取り戻せず、不安、落ち込みなど気持ちのつらさが続いてしまう場合もあります。そのような時、あなたならどうするでしょうか。一人で悩むと悪い方悪い方に不安が膨らみ、出口が見えなくなってしまいます。もし、信頼できる家族、友人に苦しさを全部話すことができたら、真剣にじっくりと聞いてもらえたらどんなに救われることでしょうか。一人では気づかなかったかすかな光に希望を見いだせるかもしれません。がん診療を行う総合病院の多くには「緩和ケア科」があります。病気のはじめから、こころの健康を含む様々なつらさを和らげることが専門です。これを機会にこころにとどめていただければ幸いです。(2017年5月)