ヒトメタニューモウイルスを知っていますか
ヒトメタニューモウイルスという名前を聞いたことがあるでしょうか。あまり聞きなれないウイルスだと思います。これは2001年にオランダで発見されたウイルスですが、最近になって急に出てきた新しいウイルスではありません。風邪には多くの原因ウイルスが存在しますが、その中の一つが明らかになったということです。その証拠に大人はヒトメタニューモウイルスに対して、ほとんどの人が抗体をもっています。
そのためヒトメタニューモウイルスが問題になるのは、乳幼児、免疫力が衰えた高齢者、免疫異常がある方が感染した場合です。幼稚園・保育園や高齢者施設などで、しばしば集団感染が起こり、大きな問題となります。
三月から六月にかけて流行し、症状は発熱、咳、鼻水などのいわゆる風邪症状です。健康な成人では軽い風邪症状で終わりますが、乳幼児や高齢者がかかると気管支炎や肺炎など、重症になることがあります。症状だけで診断するのは困難ですが、現在は迅速検査キットが開発され、六歳未満で肺炎を疑う症状がある場合のみ、保険適用で迅速検査ができるようになりました。
残念ながら特別効果的な治療法はなく、症状を和らげる対症療法が中心となります。肺炎など重症に至らない場合は一週間程度で自然に治ります。
発熱と咳が続き、同様の症状が周囲で流行している時は、ヒトメタニューモウイルスの可能性もありますので、小児科専門医を受診されることをおすすめいたします。(2017年2月)