歯科/噛むことの効用②(認知症の側面から)

噛むことの効用②(認知症の側面から)

 噛んで食べることは人間らしく生きていく上でとても大切な営みの一つです。

最近では色んな分野で認知症についてのお話を伺う機会があると思いますが、普段からしっかり噛んで食べることは、認知症の予防、そして進行を防ぐ大切な働きがあります。

噛んで食べることは、食べ物を目で見て、匂いを嗅いで、手でお箸を持ってしっかり噛んで食べ、美味しさを感じることです。色んな感覚で脳を刺激し、意識をしっかりとさせる働きがあります。噛むことが少ないと、アルツハイマー型認知症の原因である物質が脳の中で増えるという報告もあり、普段からしっかり噛んで食べることで、認知症の予防を期待できます。

また、噛むことによって脳の血流もよくなるといわれており、よく噛んで脳を活発に働かせることによって、記憶力の改善にもつながるでしょう。認知症の方々でも食べる喜びは人間らしさの一つである食欲として現れてきますので、しっかり噛めないと喜びを感じられず、脳への刺激もなくなってしまいます。そうなると認知症が進行しやすくなるため、人間らしい生活を送るためにも、上下の歯でしっかりと噛むことができる環境を普段から保っておくことが必要です。

このように、認知症予防や進行を防ぐ上で、しっかりと噛めることはとても大切ですので、定期的に歯科医院を受診し、虫歯や歯周病の治療、入れ歯の調整などを受けて、日々健康なお口の状態を保つように心がけましょう。(2015年放送)