泌尿器科/笑い事ではない、睾丸(精巣)が腫れる病気

笑い事ではない、睾丸(精巣)が腫れる病気

 睾丸は、正式には女性の卵巣に対する精巣のことで、哺乳類では睾丸とも呼ばれます。

精巣が腫れるのは、けがによる場合と病気による場合があります。股間部を蹴られたり、ボールが当たって陰嚢の中に血のかたまりができたり精巣が破裂すると、緊急手術が必要になります。

精巣が腫れる病気は、痛みがあるものとないものとに分けられます。痛みがある病気は、精巣炎や精巣上体炎などです。精巣炎は、ほとんどがおたふく風邪後のウイルス性の病気で、痛みと高熱を伴います。細菌が精巣の脇の精巣上体(副睾丸)まで及んだものが精巣上体炎です。精巣の脇に痛みのあるしこりができて高熱を伴います.抗生剤治療を行いますが、化膿が進んだら手術が必要です。小学生から思春期の男の子で、明け方急に片方の陰嚢が痛くなって腫れてきたら、精巣捻転症が疑われます。これは、精巣の血管が捻れて血流障害を起こすもので、6~8時間以内に捻れが戻らなければ精巣の細胞が死んでしまうため、緊急手術が必要です。

痛みがなくて精巣が腫れる病気には、陰嚢水腫や精巣腫瘍があります。陰嚢水腫は子どもにも大人にもみられ、精巣を包んでいる膜の中に液体が貯まった状態です。注射器で吸引したり手術を行います。精巣腫瘍は、15~35才によく起こるがんです。進行が早いため早期発見が重要で、手術と抗がん剤を組み合わせた治療が有効です。

このように、精巣が腫れてきたら緊急治療が必要な場合が多いので、迷わずに早めに泌尿器科専門医を受診することが大切です。(2015年放送)