緑内障としての手術
一部の緑内障を除いて、その治療は目薬が基本となります。しかし、目薬だけで不十分な症例は、緑内障手術を行うことになります。
緑内障の治療は、病気を治すことではなくて、これ以上悪くならないようにすることが目的です。この点が普通の病気と大きく違い、緑内障が怖い病気といわれるゆえんです。また、進行が10、20年にわたって少しずつ進行してきますので、本人も病気の悪化に気付かないことがよくあります。時々、片方の目がほとんど失明しているのに気づかない人もいるくらいです。
これらの理由で、かなり悪い緑内障の患者さんほど目薬だけで治療されている方が多いのが現実です。患者さんに緑内障の手術の話をすると「緑内障に手術はできるのですか!手術はないと思っていました」とか「緑内障手術を受けた友人から手術は絶対受けない方がよいといわれた」などという患者さんがたくさんいます。確かに、一番多く行われていた緑内障手術は、眼圧のみを下げることを主な目標とした結果、術後の合併症の頻度が高く、術後に「みえなくなった」、「コロコロする」、「また、手術をするのですか!」などの訴えが多く、眼科医が悩まされる原因にもなります。しかし、もし手術をしなかったらいずれかなり悪くなることになりますが、患者さんには分かりません。また、失明して手術をしても元には戻らないことを判ってもらうのが一番大変です。これが、眼科医の頭を悩ませる問題です。(2015年放送)