子宮脱などの骨盤臓器脱
お風呂に入っている時、股の間に何かさわったことはありませんか。股に何かはさまった感じがして歩きにくいことはありませんか。それは骨盤臓器脱です。女性の骨盤の中には膀胱、子宮、直腸があり、骨盤の筋肉でハンモックのように支えられています。それが垂れ下がって腟から脱出してくる病気です。脱出している臓器によって膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤と呼ばれます。(こぶのようにみえるので瘤という字が使われます。)膀胱瘤では頻尿、尿失禁、排尿困難や残尿感があります。子宮脱では腟の入り口の違和感、下着でこすれると出血などがあり、直腸瘤では便秘や便の残った感じがあります。子どもをたくさん産んだ方、重たいものを持つ仕事をされている方、肥満の方になりやすい傾向があります。
治療法としては、軽症であれば、誰にでもできる骨盤の筋肉を鍛える骨盤底筋体操が悪化防止に有効とされています。より重症になれば、リング・ペッサリーというリングを腟内に挿入し、子宮の脱出をおさえる方法があります。また、手術療法ではおなかを切らずに腟から子宮を摘出して、腟壁を補強する手術や子宮を摘出しないメッシュを使った手術などがあります。
日頃から太らない、便秘しない、重いものは持たないことが予防につながります。年齢を重ねるにつれ、靱帯や筋肉の支えが低下して女性にはだれにでも起こりうる病気です。恥ずかしがらずお気軽に産婦人科や泌尿器科にご相談ください。(2015年放送)