婦人科/HTLV-1ウイルスの母子感染

HTLV-1ウイルスの母子感染

  HTLV―1は、ATLという成人型T細胞性白血病の原因ウイルスです。このウイルスに感染している人をHTLV―1キャリアといい、感染の有無は血液検査で調べることができます。HTLV―1に感染すると、四十年以上の長い年月を経てATLを発症することがあります。キャリアが1年間にATLを発症する割合は約千人に一人ですが、いったんATLを発症すると五年生存率は約20%です。ATLのほとんどは母子感染によるキャリアから発症し、HTLV―1母子感染の主な感染経路は母乳であることが分かっています。

長崎県はHTLV―1キャリア率の高い地域ですが、現時点ではATLの発症を完全に阻止する治療法はありません。したがって、母子感染の防止は、次世代におけるATLを減少させる最も有効な対策です。長崎県では、全国に先駆けて1987年より27年間継続して、妊婦に対するHTLV―1検査を実施しています。長崎県におけるHTLV―1母子感染の割合は、キャリア妊婦がミルクで育てた児では2.4%、母乳で育てた期間が6カ月未満の児では8.3%、その期間が6カ月以上の児では20.5%でした。ミルクで育てる人工栄養は母子感染の防止効果が最も高く、長崎県ではキャリア妊婦の多くが人工栄養を選択しています。

妊婦がHTLV―1検査を受けることで、感染していない妊婦は安心して母乳保育を行い、キャリアと診断された妊婦は自らの意志で人工栄養を選択しHTLV―1母子感染の危険性を低下させることができます。母子感染防止のためにも、妊娠したら必ず妊婦健診を受けてください。(2015年放送)