女性ホルモンと血栓症
女性ホルモンにはエストロゲンという卵胞ホルモン、プロゲステロンという黄体ホルモンの二種類があります。二つのホルモンを組み合わせ、色々な効果を期待しています。代表的なのは経口避妊薬ピルです。また更年期障害の治療としてのホルモン補充療法、月経痛の改善、月経量の減少、月経前緊張症などに利用されています。どのような薬でも薬剤効果の反面、一部副作用も存在します。最近、月経痛改善薬「ヤーズ配合錠」のリスクが報道されています。
女性ホルモンの副作用として血管の中で血が固まり、血管がつまる病気、それが静脈血栓症です。固まった血が剥がれ、血管の中を流れて肺や心臓の血管、場合によっては脳の血管につまって血液の流れが止まると塞栓症となります。場所により肺塞栓症、心筋梗塞、脳梗塞となります。副作用が起きやすいリスクとして肥満、喫煙、静脈血栓症や心血管疾患の既往症があります。発症時期は服用後3カ月以内が高く注意が必要です。静脈血栓症の早期発見が救命につながり、初めの症状としては激しい腹痛、胸の痛みや息苦しさ、激しい頭痛、視覚障害、舌のもつれ、意識障害、ふくらはぎの痛みやはれです。
副作用として血栓症のリスクはまれにあるものの、利点が明らかに多いのは認められています。症状が疑わしい時は専門医に相談し、女性ホルモン服用中であることを伝え、血栓症のチェックが大切です。(2015年放送)