外科/腹壁ヘルニア

腹壁ヘルニア

 おなかの中の壁の弱い部分から、内臓が皮膚の下に出てくる状態を腹壁ヘルニアと呼びます。おなかの表面がふくらんで見えることもありますが、はっきりしない場合もあります。手術を行っていなければ弱い部分は通常おなかの中央で、左右の腹筋の間に起こります。広い意味ではでべそも腹壁ヘルニアになります。おなかを強く打撲して筋肉の膜が裂けても起こることがあります。

最も多い原因は、腹部の手術の傷の部分にみられるもので、腹壁瘢痕ヘルニアと呼ばれています。手術後の傷の感染や太っておなかの中の脂肪が増えたりすることが原因となります。膨らんだヘルニアは、多くの場合、おなかの力を抜いたりすることで自然に元にもどります。症状は腹痛を訴えることもありますが、鈍痛や違和感程度の不定愁訴のことや、症状がないこともあります。

腹壁瘢痕ヘルニアは、おなかの手術の傷跡のふくらみを見れば診断できますが、瘢痕ヘルニア以外の腹壁ヘルニアでは、診断が困難なことが少なくありません。

症状のある方の治療は手術ですが、もともと弱い腹壁のため再発も少なくありません。

症状がなければ経過を見ても差し支えありません。他の手術の際見つかって手術されることもあります。しかし、おなかのふくらみと共に激しい腹痛、吐き気・嘔吐などの腸閉塞による症状を認めたら、治療が必要で、すぐに病院の外科を受診してください。(2015年放送)