精神科/注意欠陥多動性障害

注意欠陥多動性障害

  英語の頭文字をとった、ADHDという略語がよく使われます。十年前に比べると、少しずつ知られてきた障害です。テレビ番組などで、例えば「片づけられない」という側面にスポットをあてた特集が組まれたり、「大人のADHD」がテーマの医学漫画も出ています。

ADHDは、脳の発達のアンバランスが関係していると考えられる発達障害です。主な症状は、集中して話を聞けない、忘れ物が多いといった不注意。それから、身体の動きやおしゃべりに落ち着きのなさがみられる多動性。もう一つ、思い立った言動にうまくブレーキをかけられない衝動性の三つです。すべての症状がみられる場合から、三つのうちの一部が目立つ場合まで、個人差や年齢差がみられます。先に挙げた「片づけるのが苦手」なのは、不注意の症状の一つです。

これらの症状は、日常生活や学校・職場の様々な場面で、困難や苦痛をもたらすことがあります。同じ失敗を何度も繰り返している場合、周囲の人も本人も、本人の努力不足と考えて、さらに困難に陥っていることが多いものです。

困り感が強ければ、ADHDの可能性も考えてみましょう。ADHDである場合、何よりまず、周囲の人や本人が、ADHDの特性をよく理解することが重要です。今、あるいは今までに起きている問題は、誰のせいでもなく、ADHDの特性に正しい対応ができていないせいだという、状況改善のための共通の考え方に立つことが大切なのです。ADHDが疑われたら、小児科や心療内科などを受診してください。(2015年放送)