精神科からみたレビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、横浜市立大学精神科の小阪憲司名誉教授が見つけた認知症です。この病気は、神経細胞の中にレビー小体と呼ばれる異常な物質が溜まり、その働きを障害します。神経細胞は脳だけではなく全身に存在します。ですから様々な「精神」「身体」の症状を引き起こす「全身疾患」です。また、障害を受ける神経が、人それぞれで違いますので、同じ病名でも症状が様々なため理解されにくい病気です。
精神症状としては、「幻視」、「認知の変動」、「替え玉妄想」などがあります。幻視は「自動車が部屋の中に入ってきて出て行った」など具体的です。自分だけしか見えないと分かっている方も多いようです。認知の変動は、ニコニコして「ありがとう」といってた人が急にプンプン怒り出して「お前たちは誰だ、早く出て行け」と唾を吐きかけたりし、また時間がたつと「ありがとう」とニコニコして言い出す。こんな変化を繰り返します。「替え玉妄想」は同居の家族を一時的に「そっくりの偽者」と思い不安がる。しばらくすると本物と認識し安心します。このエピソードを本人は覚えています。他に、寝ている時に歌を歌ったり、誰かと会話をしてるような寝言を言う「レム睡眠行動障害」など様々な精神症状があります。また、身体症状としては、立ちくらみ、食後低血圧、寝た状態での高血圧、尿失禁、便秘などがあります。パーキンソン症状のため「転びやすさ」にも気を付けてください。(2015年放送)