精神科/新しい睡眠薬について

新しい睡眠薬について

 これまで最も多く使われてきた睡眠薬は、脳の興奮を抑えて不安を軽減し、眠気を起こすベンゾジアゼピン系睡眠薬でした。さらに十数年前からは、似たような効果を持ちながらより安全性が高い非ベンゾジアゼピン系睡眠薬が処方されることが多くなりました。しかし、それでも眠気やふらつき、中止すると不眠を生じやすいために薬を中断しにくい、といった問題点は解消されていません。 最近、従来の睡眠薬とは働き方が異なり、副作用が少ないと期待される睡眠薬が二つ登場しました。

一つは2010年に発売されたロゼレム(一般名はラメルテオン)です。これは睡眠と覚醒リズムの調節や入眠効果を持つメラトニンという神経ホルモンに作用するもので、主に寝付けない時や睡眠と覚醒リズムの障害に用いられる薬です。

もう一つは2014年11月に発売されたばかりのベルソムラ(一般名はスボレキサント)です。これは覚醒を維持する作用をもつオレキシンという脳内の神経伝達物質の働きを抑えて睡眠作用をもたらす薬です。寝付けない時、途中で目が覚めない効果があるとされています。

この二つの睡眠薬は不安を鎮める作用はなく、急性のストレス性の不眠にはあまり効果は期待できません。しかし従来の睡眠薬に比べて副作用が少ない点で優れています。従って、初めて不眠の薬を使う方にはおすすめの薬といえます。(2015年放送)