精神科/認知症と徘徊―行方不明者一万人―

認知症と徘徊―行方不明者一万人―

  我が国では認知症になる方の数が年々増加していて、平成24年の厚労省の調べでは、認知症の高齢者は推計462万人で、予備軍を加えると八百六十万人となります。この数は65歳以上の高齢者の25%にあたり、認知症は年をとると誰もがかかる可能性があるといえます。

さて、平成26年4月のNHKニュースで、「認知症の徘徊から行方不明になった人の数が、平成25年1年間で1万人を越えた」という報道がありました。そのうち死亡された方が351人で、行方不明の方が208人でした。認知症になると視野が狭くなって、足元ばかり見て歩く傾向になります。また、道に迷っても手助けを求めることができなくなります。元の場所に引き返そうともせずに、延々と歩き続けて衰弱してしまうのです。

このような認知症で徘徊する方を救助するシステムとして、「徘徊SOSネットワーク」が各地域にあります。これは、警察・消防・行政機関に加えて、自治会や民生委員などの地域組織、またタクシー会社や介護サービス事業所などの地域の企業が捜索に協力してくれるのです。

このように、認知症の徘徊への対応は、多くの人たちの見守りや手助けが必要になります。皆様も、地域に住む認知症の人の行動に関心をもっていただき、徘徊による事故を未然に防ぐようにご協力ください。徘徊していると思われる高齢者を発見した場合には、勇気を持って優しく声をかけてあげてください。(2015年放送)