小児科/集団生活と感染症

集団生活と感染症

  「保育園に預けるようになってから、熱を出すことが急に多くなりました。」

このような相談をお母さんから受けることがあります。自分の子は弱いのではないかと心配されますが、これは年齢のせいなのです。

我々の体には、例えば呼吸などによって毎日多くの病原体が侵入してきます。我々の体にはこの病原体の攻撃から身を護る免疫がありますが、この免疫も大人と子どもでは同じように強いわけではありません。

大人は成長して免疫が強いため、病原体を撃退できることが多く、簡単には病気にかかりませんが、未熟な乳幼児ではこの免疫が未発達なため、病原体の侵入を防ぐことができず、しばしば発病してしまうのです。この免疫の力は小学生頃からそこそこ強くなりますが、乳幼児ではまだまだ非常に弱いのです。

昔の日本では共働きは一般的ではなく、子どもが集団生活をするのは幼稚園から小学校でした。従って免疫の弱い乳幼児の間は家庭で育てていたのですが、近年では共働きが一般的になったため、乳幼児でも保育園で集団生活をするようになりました。親が仕事に行く必要から、病気の子も保育園に預けて行きます。すると、免疫の弱い年代の子を、病気の子も健康な子も一緒にして一日中生活させるわけですから、病気をもらわないほうがおかしいのです。保育園に預けたら病気が多くなったという理由の本質はここにあります。

病気の時は他のお子さんにうつさないようにお休みする、あるいは病児保育を利用するという配慮も必要だと思われます。(2015年放送)