小児のIgA腎症
毎年春になると学校健診で検尿が行われていると思います。学校健診で検尿を行う目的は腎臓の病気を早期に発見して、早期に治療することです。学校検尿で発見される病気の中で最も大切な病気がIgA腎症です。
一般にIgA腎症という病名はあまり聞き慣れないと思います。IgAはアルファベットの「アイ・ジー・エイ」で、腎症は「腎臓の病気」という意味ですが、この病名の由来はあとでお話しします。
IgA腎症は風邪を引いた時などに突然血尿で発見されることもありますが、多くの場合には自覚症状がなく学校検尿や健診などによって初めて発見されます。
IgA腎症の原因は不明で、小児でも成人でも起こりますが、一般的には小児の方が治りやすいです。それでも約1割が腎不全に進行し、人工透析や腎臓移植が必要になります。
診断には尿検査や血液検査などの他、腎生検という検査によって腎臓の組織を顕微鏡で確認し最終的な診断が確定されます。IgA腎症の場合には腎臓の中にIgAというタンパク質が存在することが特徴なのでこのような病名が付けられました。治療には様々な種類の薬を用いますが、扁桃腺の手術を行うこともあります。
IgA腎症に限らず腎臓の病気の多くは長期の治療が必要ですので、かかりつけの医師の治療や定期検査をしっかり受けてください。一方健康な方でも学校や職場、地域での健康診断をしっかり受けていただくことが大切ですね。(2015年放送)