急性喉頭蓋炎
のどの病気の中で診断が遅れやすく重症になりやすいものに急性喉頭蓋炎があります。喉頭蓋は舌の付け根の奥にあって靴べらの形をしたもので、食べ物の流れ込みから気管や肺を守っています。この喉頭蓋にある種の病原菌が入り込むと、短い時間のうちに赤いトマトのように腫れ上がってつらくて危険な症状を引き起こすことがあります。
喉頭蓋炎になると激しいのどの痛みや高い熱が出るとともに声がくもり声になり、進行すれば息が吸い込めない呼吸困難に陥ります。急性喉頭蓋炎は普通ののど風邪と違って生命を脅かす危険性がとても高いのです。熟れたトマトのように腫れ上がった喉頭蓋を観察すれば診断は容易ですが、困ったことに口をあけてもらってのどを覗いただけではふつうは喉頭蓋を見ることはできません。おまけにインフルエンザなどと違って喉頭蓋以外ののどの部位はそれほど赤くなりません。強いのどの痛みがあっても軽い病気と間違えやすい落とし穴があるのです。
治療としては早目に適切な抗生剤と、数日間入院しての呼吸困難を中心とした全身管理が必要です。進行状態によっては頸に呼吸のための穴をあける気管切開をしなければならないこともあるからです。
強いのどの痛みが始まったら、専用の鏡やファイバースコープで咽頭を覗いてもらえる耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。(2014年放送)