はしかの流行に備えて
はしか、即ち麻疹は、麻疹ウイルスによって発病し、高熱、咳、皮膚の発疹などの症状の出る病気です。伝染力が大変強く、また肺炎や脳炎を合併することもあり、死亡する割合は、先進国でも患者千人に1人と言われている大変怖い病気です。麻疹ウイルスへの特効薬はないので、予防接種による予防が重要です。
予防接種は2回行います。1回目は1歳代の1年間に行い、そして2回目は小学校入学前の1年間です。この対象年齢の時期であれば、無料で受けられます。1回の接種だけでは十分な免疫ができないこともあるため、2回受けることが重要です。平成19年の大流行の時には、患者の9割以上が予防接種を受けていませんでした。決められた時期に忘れずに受けましょう。
さて、最近予防接種の徹底により患者の数は着実に減り続け、2013年の国内での報告数は近年で最も少ない232人でした。しかし、2013年の秋頃からフィリピンなどで流行があり、その後日本国内の各地で、いわゆる海外からのはしかの流行が認められたため、2014年の患者数は急に増え、既に4月末の時点で2013年1年間の数を上回り300人になりました。このうちの半数近くは成人で、大半が予防接種を受けていませんでした。
今まではしかにかかったことがなく、しかも予防接種を1回も受けたことのない方は要注意です。特に、医療・福祉従事者や学校関係者の方、あるいは流行国への出国を予定している方は、予防接種について一度かかりつけの医師にご相談ください。(2014年放送)