前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症と同様に、認知症の医療の現場ではよく知られた認知症の1つです。大脳の前頭葉と側頭葉の部位を中心として、神経細胞が障害される病気です。
この病気の特徴は、認知症に特有な記憶障害や場所などが分からない見当識障害が目立つ前から、行動異常や人格障害が現れて、社会生活上の問題行動が出てくることです。
その症状は、ほかの認知症とは違い、次のような特徴があります。同じ行動パターンを繰り返したり、注意されても自分勝手なので他人とのトラブルを起こしたりします。抑えがきかない状態ですので、場にそぐわない洒落を言ったり、すぐに怒り・暴力を振るったりします。反社会的な行動もみられます。例えば、車を運転していて、間違って反対車線に入るのではなく、あえて反対車線に入ります。万引きなどの問題を起こします。人格が変わったり、嫌な性格が目立ったりします。しかし、この時はまだ記憶障害などはありません。
この認知症の一番の問題点は、万引きなどの行為が病気のためだとは思われず、社会的な制裁を受けることです。60後で発症した時は記憶障害がなく、その後認知症の症状が出てから初めて、あれは前頭側頭型認知症の症状だったのか・・・と気づくことです。本人には病気という自覚がなく、周囲の人も認知症だとは気付かない厄介な認知症です。このような症状に気付かれたら、認知症の専門医にご相談ください。(2014年放送)