歯科治療における自費と保険の分かれ道①
大きなむし歯などが原因で歯の根っこの治療が終わったころに、歯医者さんから被せものをどうするか聞かれたことがありませんか。歯に大きな穴が開いてしまって、被せものでの治療が適していると判断した場合、土台として足りない部分を金属や歯科用プラスチックで補う支台築造と呼ばれる作業を行います。その後、歯の形を整え、型取りをして被せものを作製することになるのですが、被せものの材料や治療する部位によっては、保険がきかない場合があります。
現在、日本の医療制度では、一部負担金を含む保険診療と保険がきかない患者負担が混在する混合診療は認められていません。1例として歯科矯正治療のための抜歯は、保険がききません。
しかしながら、「保険給付外のかぶせものについては、患者が希望した場合に限り、支台築造を含む支台歯形成以降を保険給付外の扱いとする。」という内容の通知が厚生労働省より昭和51年に出されています。そのために根っこの治療までは保険で行い、支台築造からは自費でということが例外的に認められています。
たまに、保険のかぶせものと決めて、支台築造まで行った後で、患者さんの気持ちが変わってやはり自費でということもあります。その場合は、支台築造から自費扱いとなるため、支台築造分の保険請求を取り下げ、患者さんにはそれに対する一部負担金をお返しして、新たに自費治療として所定の金額を頂戴することになります。もちろんその逆もありますので、かかりつけの歯科医師に遠慮せず、ご相談ください。(2013年放送)