最新“歯のかぶせもの事情”
高い強度が求められる歯のかぶせものは、以前は主に金属で作られてきました。前歯でも、見た目を損なわないように金属の表面に歯の色のプラスチックやセラミックスを貼り付けることが必要でした。最近この金属に代わる材料として、ジルコニアといわれるセラミックスが注目を集めています。
身近にある代表的セラミックスとして陶磁器が挙げられます。セラミックスは溶け出したりせず、化学的に安定しているため食べ物の味を変えません。セラミックスの中でもジルコニアは、人工心臓や人工関節の一部として多く使われており、人体になじみやすい材料です。金属アレルギーを引き起こす心配もありません。また「白い金属」ともいわれ、包丁や鋏(はさみ)に使われるほど硬く、そして強度が高いため簡単に割れることがありません。それでいて歯の色に近い乳白色をしているのが特徴です。奥歯にかかる強い力に対しても容易に欠けたり割れたりせず、また口を開けても銀色にギラリとしない、見た目のよい被せものになります。
このように非常に優れた性質を持つジルコニアですが、歯のエナメル質に比べると硬すぎることに注意が必要です。表面がざらざらしていると噛み合う反対の歯を簡単にすり減らしてしまいます。ジルコニアを使ったかぶせものを入れた場合は、かかりつけの歯科医院で定期的にメンテナンスをして、噛み合わせ状態をきちんとチェックしてもらうことをおすすめします。(2013年放送)