泌尿器科/停留精巣―タマが見当たらない

停留精巣―タマが見当たらない

 停留精巣(ていりゅうせいそう)とは本来陰嚢というおちんちんの下にある袋の中に収まるべき精巣が陰嚢の中にない状態をいいます。胎児の時は精巣はだれでもおなかの中にあるのですが、だんだん下がってきて生まれる頃は陰嚢内に収まります。片方が触れない場合は片側停留精巣といい、左右ともに触れない場合は両側停留精巣です。両親が気付く場合もありますが、通常生まれた時や検診の時に指摘される場合が多いようです。

生まれた時は約3%に見られ、1年後までには約1%となり約2%は自然によくなります。そのため1歳未満で病院を受診しても「もうしばらく様子をみましょう」と告げられることが多いのです。以前は2歳以降に手術を行っていたのですが最近はもっと早く行うようになりました。その理由は早い方が精巣の発育によいとの報告があり、また6カ月以降はほとんど自然に治ることがないことが分かったからです。今は専門家の間では1歳前後から少なくとも2歳までに手術を行う方針がよいとされています。

まれに精巣の発育が悪く摘出する場合があります。その理由は精巣としての働きが期待できないだけでなく悪性化する確率が高いからです。手術により見た目もよくなり父親になる確率も両側停留精巣でなければ多くは問題ないとされています。ただ放置されると精巣の成熟も悪くなり、悪性化するおそれもありますので早めに泌尿器科、小児科などを受診されることをおすすめします。(2013年放送)