耳鼻科と嚥下障害
昔から「人間食べられんごとなったらオシマイ」といわれます。
しかし現代は医学の進歩によって長寿が可能になり、昔と比べるとすぐ病気で亡くなる人も少なくなりました。重い病気で口から食べられなくなっても、栄養補給で延命が可能な時代になっています。
病気にならなくとも年を取ると人が持つ様々な生理機能が低下することになります。その1つ、食べ物を噛み砕いて食道へ飲み込む能力、すなわち嚥下力も落ちることになるのです。
嚥下力が低下してくると、食事中にむせるのと咳が出るようになります。脳梗塞の後遺症とか認知症、喉頭がんなどの病気がからむとさらに嚥下力は低下することになります。
周囲に食事する度にむせて咳をする人はいませんか?嚥下力が落ちると、呼吸するための気道に食べ物を誤って吸い込んでしまう誤嚥性肺炎を起こしてしまうので危険なのです。誤嚥すると反射的にむせて咳が出るのです。
食事に介助が必要になり、寝たきり生活になるとますます嚥下力が落ち、反射も悪くなり、この誤嚥性肺炎のリスクが大きくなるのです。
しかし嚥下力が落ちても、口の中の衛生管理、リハビリ、食事指導などを受けながら、誤嚥性肺炎を予防し、最後まで食生活を楽しみ、会話を楽しんで安らかに亡くなることも可能な時代になりました。周りにむせたり咳をしている人はいませんか?耳鼻科では嚥下力を調べることができます。周りの医療・介護関係者に嚥下のことでご相談ください。耳鼻科専門医に紹介してくれると思います。(2013年放送)