口があかない耳鼻科の病気(扁桃周囲膿瘍)
口があかないことを耳鼻科では開口障害と診断します。この開口障害というのは実に様々な原因で起こります。歯科や内科的な病気も考えなくてはいけません。口があかなくて食事がとれないというのはつらいですね。食物を飲み込む嚥下機能を専門に扱っている耳鼻科には口があかなくて食事も摂りにくくなったと駆け込んでくる患者さんがいるのです。
本日は私たちが一番多く経験する扁桃周囲膿瘍という病気のお話をします。大抵はがっしりした体格で普段、病気とは無縁と思われる方が多いようです。口があかない、食事ができない、しゃべれない、喉が痛いと訴えられます。唾を飲む時にチクーと痛いと顔をしかめます。相当、痛そうです。大抵は風邪が先行しており、発熱を伴っています。
診察すると「アーン」と口を大きくあけられないのです。やっと口をあけたのどの奥にはパンパンに腫れ上がった扁桃腺が見えます。いかにも痛そうで、さらに大きくなると息がしにくくなりそうです。これは扁桃周囲膿瘍といって耳鼻科では緊急入院をおすすめする病気です。でもご安心ください。抗生剤のみでも治る病気です。通常の扁桃腺炎とは異なり、片側の扁桃腺が異常に腫れ、痛みが強く、食事がとれず、口があかないと訴えるのです。扁桃腺の周囲に膿が溜まった病気です。メスで腫れ上った所を切開してやると膿が吹き出してきます。それで急速に治るのですが、これは必ず耳鼻科専門医にお願いしてください。病気は必ず治ります。(2013年放送)