整形外科/交通外傷による骨盤骨折

交通外傷による骨盤骨折

  骨盤骨折は、交通事故や高い所からの墜落など、かなり大きな外力が加わった時に起こります。この骨折は大量の出血が起こることと、内臓の損傷を伴うことが多く、出血性ショックを引き起こして死亡することも珍しくありません。従って救急病院で一刻も早く治療を開始する必要があります。

骨盤骨折の治療は優先順位の高い順に治療を進めていきます。まず、出血を止めるために骨盤周囲を一定の圧力で圧迫するベルトや、創外固定と呼ばれる固定器具を用いて不安定な骨折を安定させます。輸液や輸血を行っても出血性ショックから回復できない時は、切れている血管を確認し、カテーテルを血管内に入れて血を止める操作をすることもあります。血を止める処置が効果的に行われれば、ショック状態から回復することができるため、骨折の治療を開始します。下肢(あし)を引っ張ることで骨折部のずれを減らすことができる場合は、大腿骨にワイヤーをさし込んで下肢を持続的に引っ張ります。股関節が骨折してずれている場合はなるべく元の位置に戻して、金属製のネジやプレートで固定することが重要です。しかしながら骨盤骨折の手術は非常に難しく、大量出血を起こすこともあるので、慎重に考えてから適切に治療を行っていく必要があります。

医学が発達した現在でも、骨盤骨折はいまだに治療が難しく、生命に関わる重い外傷です。(2013年放送)