胃がんとピロリ菌
胃がんは日本人のがん死亡率2位の病気であり、日本人にとって心配ながんです。胃がんのリスクを高めるものとして、喫煙、塩辛いものを好んで食べる、また、野菜・果物不足の食事などがあります。さらに近年、胃がんの患者さんのほとんどにピロリ菌感染が見られることから、ピロリ菌の関与も分かりました。
ピロリ菌は胃の中に好んで住みつき、胃の壁を傷つける細菌です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となり、除菌をすることでその予防ができます。
研究の結果、ピロリ菌感染が長期に及ぶと、胃の粘膜へのダメージが蓄積することにより、胃がんの発生リスクが約5倍に高まることが分かりました。ピロリ菌感染がないからといって胃がんにならないわけではありませんが、ピロリ菌に感染している人は除菌をすることで胃がんのリスクを減らすことができます。除菌は抗菌薬と抗潰瘍薬を1週間飲むだけで可能です。
ピロリ菌の検査は血液検査で行う方法と専用の袋に息を吹いて行う方法、内視鏡検査で組織を取る方法があります。ピロリ菌検査は、潰瘍のある方のみにしか保険が認められておりませんでしたが、平成25年2月より慢性胃炎にも認められるようになりました。
現在国民の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなるといわれています。早期発見・早期治療に加え予防も重要です。リスクを回避し長生きできるように定期的な内視鏡検査をおすすめします。(2013年放送)