精神科/うつ病患者の家族の対応の仕方

うつ病患者の家族の対応の仕方

うつ病患者の家族の対応については飼っている大事な〝猫〟を扱うようにするとよいと思います。猫に対しては「気分はどう?」とか「食事はした?」とかいちいち聞かないからです。決まった時間に食事を与え、あとはそれとなく観察しているとよいでしょう。うつ病の人は自分のことは放っておいてほしいのです。「気分はどう?」とか尋ねると、「自分は気分が悪そうに見えるんだな。家族に迷惑かけているな。」と思うからです。なるべくそっとして見守っておいてください。

うつ病は基本的には治す病気ではなく、治るのを待つ病気です。薬は必要とは思いますが、治る努力をして治るものではありません。「まだ治らないのか?」「仕事にいつから出るの?」とか問いかけてはいけません。待っていることにはならないからです。気分転換の温泉旅行も誘ってはいけません。気分転換でよくなる病気ではないからです。

またアルコールも飲まないか、控えた方がよいでしょう。アルコールは即効性の抗うつ薬で、酔った時だけよくなります。そして翌日は気分がガクンと下がります。アルコールを飲んでいる時は注意してください。

うつ病で忘れてならないのはすべてのうつ病の人に自殺の危険性があるということです。完璧に自殺を予防することはできませんが、「死」のことをよく口にする場合は十分に気を付けることが大事です。自殺未遂をしたなら必ず専門医に相談し、今後の自殺の恐れについて判断してもらってください。(2013年放送)