精神科/うつ病と認知行動療法

うつ病と認知行動療法

 うつ病の治療法に、医師や心理療法士のカウンセリングによる認知行動療法という方法があります。お薬主体の治療に比べ、治る率が高く、再発も少ないこの治療法についてご紹介します。

必ずしもお薬は必要としませんが、憂うつ気分や意欲低下といったうつ病の症状が強い場合には、まず、お薬で症状を緩和させます。気持に余裕ができた段階で、ご自分の習慣化した物の捉え方、考え方、行動を振り返っていただきます。そして、うつ病などの障害を起こしにくい考え方や行動へ転換する訓練を行います。転換がうまくできて、症状も改善してきたら、薬を減量、中止します。

くよくよといつまでも同じことを繰り返し考え後悔ばかりする、マイナス思考が強く自分を責めてばかりいる、などの考え方の偏りは、訓練により修正可能です。数カ月を要しますが、いち早く考え方や行動の転換の要領に気付く患者さんもおられます。

どんなに優れた治療薬が使われても、根本的なものの捉え方や行動の在り方が変らなければ、服薬の中止やストレス状況により、うつ病が再発しかねません。薬だけでは治らない、薬をやめたら再発した、といった患者さんには打って付けの治療法ですが、残念ながら長崎県では充分には普及しておらず、これからが期待される方法です。ご希望の方は、この認知行動療法の実施について、最寄りの心療内科クリニックか精神科病院へお問い合わせされるとよいと思います。(2013年放送)