歯科/顔の腫れ―歯科の立場から

顔の腫れ―歯科の立場から

 歯に細菌が感染し、顔が大きく腫れるということがあります。この病気は、頬の蜂窩織炎(ほうかしきえん)と言います。

この病気の原因の多くは、歯の周囲の組織が細菌に感染する歯周病や、歯の根に細菌が感染する根尖性歯周炎、親知らずが細菌に感染する智歯周囲炎です。また、口の中の粘膜や顎の骨に発症する腫瘍が原因になる場合もあります。

これらの病気は、普段は自覚症状がないことが多いのですが、疲れていたり、栄養が摂れていなかったりして体力が落ちると、おとなしくしていた細菌が1気に暴れだして起こります。その後、この細菌が歯の周囲から顎の骨を通って歯ぐきへと移動し、さらには頬の組織へと移ります。そこで大きな炎症が引き起こされ、頬が腫れるのです。

頬の蜂窩織炎になりますと、目が開かなくなったり、口が開けられなくなったりします。また、高熱が出て倦怠感を訴えることも少なくありません。

頬が腫れたらまず、歯科か耳鼻咽喉科を受診してください。レントゲンを撮影し、腫れの原因が歯であるかどうかを確認します。もし、歯が原因であれば、まずは抗菌薬の点滴や内服で炎症をおさえます。その後、腫れや痛みが落ち着いてから適切な歯科治療を受けることになります。

頬の蜂窩織炎は、歯科医院で口の中のケアを行っていると、発症する確率が格段に下がります。かかりつけの歯科医院で定期的なむし歯や歯周病の治療を受けることをおすすめいたします。(2012年放送)